社員教育の分類と適切な研修方法|教育内容に適した研修のやり方
このページでは、人事部門が企画する教育の「手法」に関する大枠をお伝えします。
教育の「内容」については、こちらの記事ではなく別の記事でご紹介しています。
今回は、教育したい内容があった際に、それをどうやって社内で教育することが好ましいのかということが整理されています。
1.OJTとOFF-JTそれぞれに適した教育内容とは
社員教育の形式は、まず大きく2つに分けられます。OJTと、OFF-JTです。
この区分けについてはすでにご存じの方も多いと思います。
OJTとはOn The Job Trainingの略で、実務を通じて行う教育です。上司や先輩社員が教える立場となり、お手本を示しながら仕事のやり方などを教えます。
これに対してOFF-JTとはOff The Job Trainingの略で、職場から離れて行う教育です。人事担当者が企画する研修は、基本的にはOFF-JTに該当するため、「OFF-JT=研修」と考えることもできます。
それでは、これらに適した教育内容とはそれぞれどのようなものになるのでしょうか。
一般的な分類としては、以下のとおりです。
・OJT…一度にたくさんの人へ教育できない、業務内容や担当領域によって異なる個別具体的な業務の知識や技術の習得。
・OFF-JT(研修)…多くの社員に対して一律で教育ができる汎用性の高い内容。
しかし、実際には「このスキルはOFF-JT(研修)で教えるからOJTでは何も教えなくていい」といった明確な切り分けは難しいことの方が多いです。
そのため、重要なのは「ここまでは研修で教育して、ここからは現場のOJTで継続的に指導する」といった、研修とOJTの連続性部分をしっかりと認識することになります。
この研修とOJTの連続性、つまりそれぞれでどこまでの教育を担当させるかということについては、教育の内容によって整理すると非常に考えやすいです。
2.教育内容の3分類(知識教育・スキル教育・意識教育)
教育の内容は、一般的に知識教育、スキル教育、意識教育に分類することができます。
そこで以下では、これら3つの教育内容それぞれについて、OJTとOFF-JT(研修)の組み合わせ方を解説していきます。
研修の内容 | 適した教育手法(OJT or 研修) |
---|---|
知識教育 | 研修 |
スキル教育 | OJT |
意識教育 | 研修とOJTの連携 |
結論からお伝えすると、それぞれの教育内容に適した基本となる教育手法は上の表のとおりです。
知識教育
知識は、それを知っているかどうかが一番重要であり、研修は多くの社員に対して一律で知らせることができるため効率的です。また、個々の上司や先輩に任せた場合は属人的で誤った知識が伝えられてしまう可能性もあるため、その点でも研修形式の方が好ましいと言えます。
スキル教育
スキルは、それができるかどうかが一番重要です。「できるかどうか」については人によって向き不向きや習熟までの個人差が大きいため、一律での教育よりも上司や先輩による個別教育(OJT)の方が適しています。
意識教育
意識は、その人の本質的な部分から変わっているかどうかが一番重要です。より分かりやすく言えば、「性格を変える」のと同じで、表面的な教育では難しいということです。この場合重要となるのは、研修だけでも難しく、OJTだけでも難しいということです。つまり二つを上手に組み合わせて、深く教育を届ける必要があります。 ※詳細な方法は後ほど
さて、上記のように一旦整理をしましたが、実際の教育内容を思い浮かべてもらえれば、「これは知識教育で、これはスキル教育」と明確に区切ることができないものが大半です。
例えば、「お客様への接客態度に関する研修」をしようとした時、接客態度には敬語の使い方といった知識面もあれば、実際のアドリブ的なやり取りといったスキル面もあります。
そこで覚えておいていただきたいのが、3つの教育内容には下の図のようにそれぞれ重なり合う領域があるということです。
教育内容に適した教育手法(OJTか研修か)を考える際には、その教育内容が「どの教育内容としての側面が強いのか」といった観点で考えることをおすすめします。
例えば、知識教育的な側面が強ければ集合研修を開催したり、あるいはスキル教育的な側面が強く一部に知識教育的な面があれば、基本はOJTとして現場での教育に任せつつ、人事部として知識面に関する簡単な資料を作成してサポートするなどの方法が考えられます。
研修とOJTの連続性に関してはケースによって実に様々な組み合わせがあるのですが、上記のように体系立てられた考え方は、実際の教育手法を考える上ではとても役に立つはずです。
3.最適な研修形式を考える
研修担当者として「OJTではなく研修を実施しよう」と考えた後は、その「研修形式」についてもよく考えることが大切です。これは例えば、講義形式で行うのか、グループワーク形式で行うのかといった話です。
こちらも、教育内容の3分類にあわせて最適な研修形式を整理することができますので、「どの教育内容としての側面が強いのか」という観点とあわせて考えると検討しやすいです。
研修の目的 | 適した研修形式 |
---|---|
知識教育 | 講義、外部セミナー、eラーニング |
スキル教育 | 実習、ロールプレイング |
意識教育 | グループディスカッション、グループワーク |
知識教育に適した研修形式
知識教育は知らない情報をインプットすることを目的としているため、体系的に情報を伝えることができる講義形式が適しています。
スキル教育に適した研修形式
スキル教育は経験することが重要なため、実習やロールプレイングが適しています。
スキル教育はそもそも研修にあまり向いていない(OJTの方が費用対効果が高い)とお伝えしましたが、現場の強い要望などにより実施をする際にはこちらの研修形式をおすすめします。
意識教育に適した研修形式
意識教育は本人の納得感が重要なため、受講者には他の教育と比べてさらに強い当事者意識が求められます。当事者意識は自分の考えを発することで高めることができますので、グループディスカッションやグループワークといった研修形式が適しています。
なお前述のとおり、意識教育に関しては研修だけでなくOJTとの連携が非常に重要となります。
連携の具体的な方法については様々ありますが、ここでは一番おすすめの方法だけ紹介しましょう。それは、研修(グループワークなど)で一人一人の具体的なアクションを決めた上で、上司や先輩にそれを共有し、そのアクションができているのか日々現場でチェックをしてもらうという方法です。
意識や性格を変えるためには、日ごろの行動を変えた上で、それを継続して行っていくことが大切です。
また、意識教育は企業理念の浸透などからも分かるように、内容とクオリティの統一をすることが会社としては望ましいことが多いです。
そのため、まずは研修にて全員に共通して求める意識を伝え、それぞれの業務に沿う形で個別に具体的なアクションを考えてもらった上で、後はOJTと連携する形で継続的にアクションの確認をしていくことが最も適した教育手法と考えます。
なお、こちらに関するさらに具体的なノウハウはあらためて別の記事にてまとめる予定ですので、興味がありましたらそちらもご参照いただければと思っています。
以上を参考に考えていただければ、教育内容を絞り込んだ後に、それをどうやって社内で教育することが好ましいのかということについては検討が深まるのではないでしょうか。
次のステップでは、研修の一番ポピュラーな形式である集合研修の実施に関してさらに掘り下げていきます。
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