【研修インタビュー】株式会社ハブ
株式会社ハブについて
東京都千代田区に本店を置く株式会社ハブ(以下、ハブ)は、首都圏を中心に全国で105店舗(2018年9月時点)を展開する英国風PUB事業を営む会社です。
車輪の中心、転じて人の集まるところを意味するHUBという言葉を社名の由来に持つハブでは、英国風PUBという居酒屋とは異なる新しいスタイルのアルコールの文化を日本に広めることで、日本の暮らし・社会をより一層豊かなものにすることを目指しています。また「感動文化創造事業を展開する」という理念には、お客様の感動のみならず、従業員も日々感動を感じながら働いていける文化を創り出していきたいという想いが込められています。
この記事はハブ総務人事部の砂川様・経営企画部の駒田様に、ハブで実際に行われている研修の具体的な中身や、社員のキャリアアップに対してどのように考え、そのサポートを行っているのかについてインタビューした内容をまとめたものです。
1.入社後に行われる研修について教えてください
入社後最初に行われる研修は、入社式と同時にイギリスで行われる5泊7日の英国研修です。英国研修はハブにとって肝となる教育でして、1998年の会社設立時からずっと行っているものになります。ハブは外食産業の中でもPUBという日本に馴染みのない事業を単一で行っており、ただのレストランサービスではなくPUB文化を日本に広げていきたいという強い思いを持っています。この志を共有してもらうために、原点であるイギリスのPUBを見て、実際に自分の五感で感じてもらっています。
入社式と同時に行うようになったのは、2年前の4月からです。それまでは都内で普通に入社式を行っていたのですが、社会人生活スタートの第一歩ということで入社式自体も思い出深いものにできればと考えました。毎年必ず英国研修を行うのであればその時期に合わせて入社式もイギリスのPUBでやろうとなり、社内教育制度である「ハブ大学」の1番最初の研修とあわせて現在ではイギリスで行っています。
研修の取り組みの中には、英国研修の成果発表会というものがあります。個人テーマを設定してプレゼンテーションを行ってもらい、優勝者にはインセンティブを出すというものです。発表のテーマに関しては本当に様々で、サービスに特化した内容のレポートもあれば、設備について、文化についてといったものもあります。テーマの選定は個人に任せており、本人が興味のある分野について実際にイギリスのPUBを見ていく中で研究をしてもらいます。近年では、発表のレベルが上がってきているなと喜ばしく感じています。
2.その他の研修について教えてください。
全体像としてはハブ大学という社内教育制度があり、その中にある四つのステップにあわせて研修を行っています。若手向けの教育としては、入社1年目のプレスクール課程というステップが該当し、ここでは主にスキルを高める研修と、定着率を高めるための取り組みが行われています。具体的には、英国研修後の約1ヶ月半の期間で行われる新入社員研修において、社会人マナーの研修やオペレーションに関する研修、フォローアップ研修や懇親会といったものが行われます。
フォローアップ研修は1ヶ月後、3ヵ月後、6ヶ月後にあるのですが、最初の1ヶ月後のところではモチベーションに関する確認を行います。入社前と入社後でモチベーションにギャップがあった場合それを埋める必要がありますので、グループワークを中心に各自で自分のモチベーションの推移をグラフ化してもらったり、グループディスカッションの中で今自分が悩んでいることや不安に思っていることを共有してもらったりしています。研修が終わった後は、基本的には自社の「HUB」店舗で懇親会です。
3年目になると配属された店舗において中堅となってきますので、研修内容としてはスタッフ育成やリーダーシップ、コーチングといったコミュニケーションの取り方がメインになってきます。それ以外では、衛生管理や労務管理、マネジメントなど様々な研修も行います。またこちらからの研修以外では、自己啓発支援制度というものがあります。これは本人が望む資格取得に対して、10万円を上限に支援するという制度です。例えば将来店舗開発をしたいという人が宅建の資格を取るといったことに対して、会社では積極的にサポートしていきたいと考えています。
3.教育に関する様々な取り組みを行う上で重視していることは何ですか?
会社=人であり、企業の価値向上に向けては人に対しての投資を惜しまないということです。ハブのビジネスモデルは、PUBというニッチな業態ではありますが、外食産業である以上マネされやすいということは避けられません。そのような中で他と差をつけるには働いている「人財」が重要であり、競争力という点では人財の部分だけが「違い」というくらいにハブでは働く人を大切にしています。
具体的な近年の取り組みとしては、これまで6年間だったハブ大学を、10年間の教育へと変えました。ただし、これは一人前になる期間を引き延ばしたのではなく、本人がより良い人生を送るためにその後のキャリアを進んでいくサポートとして行ったものです。
外食業界を選択する方々は独立志向が強い傾向にあります。そこで、ハブに入社して最初の6年間は当初のまま一人前のマネージャーを育てるための教育を行いつつ、さらに4年間増やした部分で、社外でも通用できる人財の育成として経営に特化した教育を行うようにしたのです。
2年前から、永年勤続表彰として入社10年目にもう一度英国研修を行うようになりました。そこで最初の英国研修から10年後に再度同期とイギリスで語り合ってもらい、「よしこれからもハブで活躍するぞ」であったり、「俺はこれを一つの節目に独立して頑張るぞ」といった話をする中で、そこからまた自身のキャリアを進めていってもらえればと考えています。
4.今後の取り組みとして考えていることを教えてください。
会社の規模に関して言えば、基本的に毎年店舗を10%程度増やしていくというのが目標です。具体的には、現在店舗数は100店舗強ありますので、当面は年間10店舗ほどのペースで出店していきたいと考えています。仮に良い物件がたくさん出てきても、店長としてマネジメントができる人財がいなければ店舗は出せません。そのため、もちろん条件に合う物件を厳選しているのもありますが、店舗開発と人事のバランスを取る中で最適な出店速度が既存店舗数の10%程度という判断です。
また、福利厚生の面で言えば、ハブでは夏季9日間冬季5日間の連続休暇制度や、勤続年数に応じた最大21日間連続のリフレッシュ休暇、その他にも育児・介護休暇制度など飲食業界でトップクラスの処遇を揃えています。飲食業界というと大変そうなイメージを持たれる方も少なくありませんが、ハブでは残業はほとんどなく、社員一人一人について毎月しっかりと休みをとっていることを確認する体制を整えております。
ハブで活躍できる人としては、能力に関係なくハブでの仕事を楽しめることが一番重要だと考えています。「感動文化の創造」ということを考えた時、お客様だけでなく自身も感動できる人間である必要があるからです。外食業界への就職を検討されている方の中には、外食の仕事はしたいけれど、収入や労働時間といった労働条件の面で心配だという方もいらっしゃると思います。しかしハブでは、離職率が7~8%と低く、辞めた人もほとんどが独立や結婚といった前向きな理由であることからも、安心して働ける会社だと言えます。引き続き、会社=人と考え、従業員重視の経営を続けていきたいと考えています。
※この記事は、「となりの研修室」に掲載されていたものです。
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