2018.08.24

【研修インタビュー】株式会社ウインウイン

株式会社ウインウインについて

神戸に本社を構える株式会社ウインウイン(以下、ウインウイン)は、東京、横浜、大阪、名古屋といった大都市圏に支社を持ち、採用コンサルティングサービスや採用代行サービス、求人広告代理サービスといった企業の採用支援に関する業務を行っています。
社名の由来となっている「WIN-WIN」は、常に顧客とそのような関係を築き、社会に貢献していきたいという企業理念を表します。ウインウインは企業および個人において、お互いの個性・価値観を尊重し、「共に考え」、「共に行動し」、「共に勝利をつかむ」関係を目指している会社です。
この記事はウインウインの執行役員である松沢様に、社内で実際に行われている研修の内容についてインタビューを行い、その内容をまとめたものとなっています。

1.現在の研修内容と、その研修内容に至った経緯を教えてください。

2014年に、会社が最も大切にする顧客価値を「採用成功」に再定義しました。それに伴い組織体制や評価制度も変わり、一人一人の役割も変わったため、各階層の人材育成についても一から考え直したのです。
階層別に少し紹介しますと、まずマネージャークラス(課長級)は当社ではプレイングマネージャーであることがほとんどです。例えば営業マネージャーであれば自部門の管理と同時に全社的な重要クライアントを自ら担当しています。よって個の営業として、改めて顧客を採用成功に導くための企業理解力や関係構築力といった基本スキルの質を高める研修を行っています。また自部門の管理においては採用成功をゴールとした組織の戦略立案から適切なKPIの置き方やモニタリングのあり方などを学んでいます。また既決の全社戦略をいかにして自部門の状況や戦略と結びつけ、部下に自らの言葉で魅力的に語るか、といったことも研修を通して学んでいます。
次にリーダークラス(係長級)の研修では、具体的な顧客を題材として、企業理解の深め方と関係構築力の高め方をロールプレイも通じて学んでいます。その際、自社の現在のリソースやケイパビリティのみで顧客と対峙するのではなく、無いものであれば作り出すという前提のもと顧客の採用課題から逃げずに向き合うようにしています。リーダーこそが当社が新しく定めた採用成功という顧客価値を日常的に体現し続ける存在でなくてはなりません。
チーフ(主任級)もリーダー研修と同内容に加えて、始めて部下を持つ役職となるためピープルマネジメントの基礎を学んでいます。メンバーのWill(こうしたい、こうなりたい)を知り、会社や自部門のミッションとどう結びつけていくかが日々の指導において重要となるため、忙しい中でも時間をかけて研修をしています。
また、特徴的な点としてこのような企業理解や関係構築をテーマにした研修は営業メンバーだけでなくアシスタントや事務担当者まで同じ題材で行っています。

2.実務的な研修が営業の方とアシスタントや事務の方で同じ理由はなんですか?

ミッションとして採用の成功をゴールに置いた時、それぞれの職種の役割も改めて定義したのですが、そのとき全職種共通で必要なスキルが多くあることが分かりました。例えば企業理解力、顧客の採用成功を目的に業務フローを構築する際にこれまでよりも提供するサービスの範囲が広がっていきました。簡単に言えば今まで求人広告だけを利用していたクライアントが自社ホームページやリスティング広告も使う、さらに面接率向上のために採用代行もやっていきたいとなった場合、必然的に事務スタッフが処理する業務の幅も広がります。顧客の特徴を理解していない状態では事務処理おいて自分で判断できないことが増え仕事が非効率に、または機械的になってしまいます。営業側と共通理解を持っていれば、先回りして対応することや、顧客ごとに効率的な事務フローを構築することが可能です。事務の方も研修ではロールプレイングも実施しています。

3.新人研修に関してはどのような内容になりますか?

新人研修も、先に述べた変化に連動する形で大きく変えました。役員が主導し会社の最重要事項と位置づけて新入社員の育成改革を行いました。研修の中身を濃くして実施時間を増やし、出来る限り上位役職者が直接指導する機会も確保しています。
具体的に言うと、これまでは商品知識を入れ、標準的な営業のやり方を教えるに留まっていたのですが、今では新人にも企業理解や関係構築に関する詳しい話をしています。それによって、今までより企業の見方や事業に対する捉え方が変わった状態で現場に配属されるようになりました。先輩がやっていることは今すぐにはできないけれど、「自分がどこをどう鍛えれば出来るようになるか」がはっきり見えた状態で配属されてくるということです。、現場の上司からすると、今までよりも教えやすく、無駄な気を遣うことも減るという効果があります。

4.学び終えた方を実務において評価する際はどのようにされていますか?

人事評価にはかなり力を入れています。様々な改革とあわせて、評価のやり方も根本的に見直しました。これまでも評価サイクルはありましたがやや形式的になっていました。その結果評価の透明性や公平性を欠いていたかもしれません。例えば会社の理念に沿った行動と業績は必ずしも直結しませんが、きちんとその行動は評価されるべきですが、褒めることは出来ても評価することは難しかったです。また、役職ごとに期待役割が異なるという点はどの企業でも同じかと思いますが、それが全社横断で同じ役職なら同じ尺度で公平に評価することは出来ている会社の方が少ないのではないでしょうか。また頑張ったからこの出世、という昇進の仕方ではなく「これを任せたいからこの役職」という思想も一般的ですが実現することは難しいと思っています。それらを全て実現すべく、まず評価者側は評価サイクルを回すための時間的工数をこれまでの倍以上に確保しています。また適正な評価を行うための評価者研修も受けています。
弊社では個人の目標の基礎となるのは、その人自身のWill(こうしたい、こうありたい)です。よって上長が面談でWillを確認するところから出発します。しかし突然上司が部下にWillを教えて、と言っても引き出せるものではありません。だからこそ評価者研修を大事にしています。本当に本人のWillに沿った目標が設定できれば、極端に言えば放っておいても仕事は推進されます。上長一人の視野で考えるだけでなく、上長同士でそれぞれのメンバーをどう育成するか話し合う会があり、とても時間をかけています。

5.今後さらに実施したい研修や計画などはありますか?

たくさんあります。それに向けて経営側も大胆に予算化してくれています。まだ具体的には言えないことも多々ありますが、直近では入社2~3年目の一般社員向けの研修が未導入で、そこは検討しています。また、現在は全社の組織を地理的な分割ではなく機能ごとに分けていますから、各機能の専門性を高めるための支援もどんどんしていきたいです。例えば求人業界ではIndeedを始めWEBマーケティングの知識が必須となっています。また人材紹介業においても、業界が大きくなるにつれ求職者の目も肥えています。カウンセリング技術の向上は必要です。
全社共通で社員が自らのWillに向き合うための支援も大事だと思っています。自分の強みや課題、希望や野望に気付くことが出来ない人も多く、勿体無いなと感じることがあります。私も経験がありますが、自分を見つめ直すことで「転職」というのは選択肢が表れることがあります。中小ベンチャー企業ではそれを恐れて経営と社員が本当のWillから距離を置くこともあるのではないでしょうか。ですが、まず会社の理念やミッションを深く見つめて、その中で会社が社員に期待することを明らかにし、野心的な経営目標を設定することが出来れば、社員の希望や野望が会社の外に向いてしまうことは少ないはずです。冒頭の話に戻りますが、「採用成功」ということを顧客価値の最上位概念に据えたあと、たくさんの時間と苦労を重ねて研修についても改善してきました。まだ模索の日々ですが、中小企業だから研修もそれなりにしかできないという考えは絶対に持たず、理想から逆算して一歩ずつ前進していきたいです。

※この記事は、「となりの研修室」に掲載されていたものです。

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