【研修インタビュー】パーソルキャリア株式会社
パーソルキャリア株式会社について
東京都千代田区にあるパーソルキャリア株式会社(以下、パーソルキャリア)は、正社員領域・アルバイト・パート領域の求人メディアの運営、人材紹介サービス、 新卒採用支援、教育研修サービス、組織・人事コンサルティングサービスなどの事業を行う会社です。
「はたらいて、笑おう。」という言葉をグループタグライン(スローガン)として掲げ、日々の「はたらく」をよりよくするために個人の「成長」を支援し、組織の「成長」に貢献することが社会全体の活性化につながっていくという考えのもと、はたらく人にさまざまな成長の場や機会を提供するとともに組織の成長に貢献する幅広いサービスを提供しています。
この記事はパーソルキャリア コーポレート人事統括部の大野様、片山様に、パーソルキャリアで実際に行われている研修の具体的な中身や、社員のキャリアアップに対してどのように考え、そのサポートを行っているのかについてインタビューした内容をまとめたものです。
1.入社後の研修について教えてください。
入社後は、まず初めに新人導入研修を2週間ほどかけて行います。新人導入研修は、4月の入社式のあとそのままバスに乗っていただいて、千葉県にある施設で8泊9日の合宿を行うという形式で今年は行いました。合宿先はサッカーコートが2、3面、体育館もあるような大きな施設でして、そこへ新入社員が全員一緒に行き、合宿生活を行う中で研修を実施しています。
その後は各事業部ごとの新人研修を行い、トータルでおよそ2ヶ月間かけて新人研修を行います。新人研修の期間が終わった後の流れとしては、新卒フォローアップ研修というものを行っています。パーソルキャリアでは「グレード制」という等級制度を用いているのですが、新入社員に一般的な水準のグレードへ上がるために必要な能力やスキルを獲得してもらうことを目的として、これら一連の研修を行っています。
以上の研修期間としては、2年目が終わるまでの2年間を基本的な期間としています。昇格をする上でつまずくポイントはこれまでの経験からある程度絞られていて、例えばロジカルシンキングなどがこれに該当します。高いコミュニケーション能力を持った人は、直感や思い付きの行動でも、愛嬌やキャラクター性、話術でそれなりの結果に結び付けられるのですが、昇格する上で上司から「ロジカルシンキングが足りない」と言われるケースが多いです。そのため1年目でロジカルシンキングの基礎となる研修を行うなど、つまずきやすい点については先回りして研修を行うようにしています。
2.8泊9日の新人導入研修は具体的にどのような内容でしたか。
新人導入研修は、大きく分けると二つの内容になっています。まず一つは「シアターラーニング」というものを行いました。もう一つは、事業理解に向けた座学や、パーソルキャリアの事業部構成、制度といったものに関する説明です。
シアターラーニングとは、テーマにあったミュージカルをチームごとに作り、実際にそれをミュージカル形式で発表していただくというものです。テーマはパーソルキャリアのグループタグラインである「はたらいて、笑おう。」です。これを体現するような3分間のミュージカルを作ってくださいと伝えて、1チーム6、7人で練習や発表を行っていただきます。
シアターラーニングという形式で研修を行った理由としては、「はたらいて、笑おう。」というテーマに関して、本人がどこまでその意味を自分自身の中に落とし込めているのか、見てすぐに分かるという点が挙げられます。最初に自分達で内容を決めて、演出について話し合い、役割を決めて練習を始めるのですが、その中で「疑問を感じながら演技している」といったことは素人目に見ても一目瞭然です。スピーチをするだけであれば、インターンやアルバイトなどで営業経験がある人ならある意味ではごまかせてしまうのですが、ミュージカルとなると経験者がほとんどいないため、テーマへの理解度などが分かりやすく見て取れるのです。
シアターラーニングの実施にあたっては、朝から夕方まで稽古を行った後、夕方に振り返りを毎日していただきます。振り返りの際には、研修企業を呼んでファシリテートしていただき、それぞれのチームや個人が内省し、前に進むサポートをしています。これらの経験を通してパーソルキャリアが目指すものを理解していただき、自分たちが仕事を頑張る理由についてしっかりと自分の軸にしていただきたいと考えています。
3.研修内容を決める上で特に重視した点を教えてください。
新人導入研修においては、「仕事を頑張る理由」についての想いを強くしてほしいというのが一番重視した点です。新しく入社される方は入社時点で「人が好き」や「社会の役に立ちたい」といった動機を持って入社してくださるのですが、実際に社会人として厳しい環境の中で働いた時、明確で力強い動機形成ができていなければ、仕事をする中でつらいと感じた時に心が折れてしまいやすいです。スキルに関しては仕事を続けていく中で自然と身についていくところもあるため、まずはそういった心構えや考え方の部分で想いを強めてもらいたいと考えています。
実は、以上のような理由で研修を選ぶようになったのは今年に入ってからでして、昨年度までの新人研修と比べて今年から内容は劇的に変わっています。それと言うのも、時代の変化に伴い、新入社員の意識や仕事観が変わってきたからというのが主な理由です。また、会社規模も一定のステージまで上がったこともあり、創業当時と同じ教育体制のままではいけないと感じました。
研修内容を変更するにあたり、特に必要性を感じたのが、上記の動機形成です。例えば自分がやりたい職種と配属された職種が異なるといったことは、企業内で起こってしまう事態の一つです。事業に対する理解が浅いうちは、これだけでも離職に繋がってしまう可能性があるのです。実際にはどの業務もすべてパーソルキャリアで掲げているビジョンにつながっているものであり、最終的に本人の動機へ沿うものだと言えます。
新人研修をした後の配属先がどこであっても、自分のやりたいことに紐づくものであると理解していただき、どこに配属されても面白そうだと前向きに考えてもらえるようになることが、現場へ送り出す前の基礎的な研修として目指していることです。
4.その後の研修と、今後の取り組みで考えていることを教えてください。
新入社員向けという分類で行う研修としては、2年目で一旦終了となり、以降は「階層」という観点でタイトルがつく時に研修を行う制度になっています。タイトルとは例えば「グループリーダー」といったものがそれに該当して、管理職の一歩手前の段階で管理職に向けての研修を行うなど、役職に沿った研修を行っていきます。またそれ以外では、等級要件に沿って都度、研修を行うようにしています。具体的にはロジカルシンキングに加えて、アサーションやファシリテーション、OAスキルといったものがあります。
今後の取り組みとしましては、まず引き続き新入社員全員が、途中で心折れることなく一人前に活躍できるようになっていただくことをゴールとしています。ただしそれだけではなく、時代の変化に合わせてビジョンの実現に向けた新しい事業を作っていくために、リーダーとして活躍できる人材を輩出していかなければとも考えています。今は20代でも自分で資金調達をして新しいサービスを立ち上げるといった若い起業家も増えてきていますが、パーソルキャリアで採用している新入社員の中にもそういったポテンシャルを持つ人材はいるはずだと思っています。そういった人材を適切に評価して、活躍する機会を提供することができれば、会社としてもさらに大きく成長していけるのではないかなと思っています。
※この記事は、「となりの研修室」に掲載されていたものです。
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